渡辺正 連載コラム#39 フジヤマで売ってないレコードたち。
山塚アイとJOJO広重と3人で渋谷の喫茶店で話をした事があった。 ボアダムズを始めた頃だったかなあ?だから随分と昔になるが、なぜ会ったのか忘れた。JOJOも居たから、多分アルケミーからハナタラシの1stアルバムを発売するにあたってのなにか打ち合わせだったのかも知れない。 おかしな奴だった、山塚君。 どういう話のどういう会話だったのか思い出せないが、とにかく彼は「おまんこ」だの「きんたま」だの、そんな言葉ばかり大声で連呼してたから、ほとんど会話になりません、なもんだから笑ってコーヒー飲んで別れた。案外オシャレな喫茶店だったから恥ずかしいやらなんやら、でも言いたいだけ言わせといた。 あれは新種の「はなたらしライブ」だったのかも。そのプレゼンだと思えば鑑賞に堪える聞き物だったな、「きんたま」の連呼。 プッシー・ガロアのこのファースト・アルバムは暴力的でわがままし放題の安いロックが固まって詰まってる、とても「山塚流の素敵な音楽」に酷似。87年リリースと言えば、この頃の私の周りの音楽もこの安い感じにワクワクしてたし、4人編成で始まったボアダムズの初期ライブもプッシー・ガロアな感じのエネルギー純度の高いバンドでハスッパで、もうどうなるか分からない魅力満載だった。 決して洗練に辿りついてしまわないでほしかったが、今やジョン・スペンサーも山塚アイもカッコ良すぎ。 それはそれでいいが、エネルギー全開が命、の心意気に笑って聴き入ってしまったあの頃が懐かしい。きっとまた、そういう時期がやってくると思う。 先走りの美学。 2002/5/27 |