渡辺正 連載コラム#41 フジヤマで売ってないレコードたち。
サッカーワールドカップ2002を人並みにTVで見ている。 サッカーなんて別に好きでもないが見ている。日本が予選リーグを勝ち抜いたというので、本戦っていうのか決勝リーグっていうのか、とにかく異常な事だというから見ている。 イングランドの異常なフーリガンと日本の異常なチーマーとの抗争も見てみたかったが、幸か不幸か静かなもんです、モンデス山脈。 トーナメント一回戦の日本対トルコ戦。 サッカーなんて貧乏な国が勝てばいいと思ってるから、別に日本を応援してるつもりもない。勝負はどうでもいいと思ってる。なんか異常なテンションを見てみたいだけなのです。おそらく大抵の人はそうでしょう?にわかサッカー好きな我々です。 そんなだから、得点ゴールを決めた時のTV実況アナの「ゴーーーーーーーール!!!!!!!!」の絶叫がウソ臭くて大嫌い、耳障りこの上なし。無理に興奮してるとしか思えない。正確には、伝え方に無理やりな強制を感じて、なんか醒めてしまう。 そういう作り物の異常は嫌。 美しい選手のフォームや玉あしらいが見たい。むきになってる選手のギリギリの抗争が見たい。勝負はあまり関係ない。日本が勝てば「良かったね」程度のこと。ゲーム程度の事で戦争が始まったり、死者が出たりするんだから冷静になろう、ゲームの中での正真正銘な異常を楽しもう。 だからおそらくTVの実況アナはうるさいと決め付けたので、どう楽しもうか考えた。 はじめは映像だけで観戦しようと、音声を切ったが間が抜けててアドレナリンが湧き出ない、元々サッカー好きでもないから。 で、いつも聴くとガンガン前向きになる音楽をヘッドフォンで聴きながら見てみた。 凄かった、興奮した、ジェームス・ホワイトのスピード感たっぷりなサックスが鳴ったところで、いきなりトルコ軍のゴールさ、カッコよかった。サントスの惜しいゴールの時には暴力的なギターがかぶってた。選手の身のこなしがキレイに見えた、日本は負けたが別にどうってことはない。 敗戦後、大泣きしてる市川のバストショットにもイケイケなサックスが流れていて、美しかった。 爆音で聴いていたのは「コントーションズ」。 2002/6/22 |