渡辺正 連載コラム#45 フジヤマで売ってないレコードたち。
エルヴィス本人は生きてるそうだ。 歌の中でとか、ファンの心の中で、といった美談じゃなくて、単に生存してる、らしい。 何せ、本人がそう言ってるんだから間違いない。他人の私達が口を挟む余地は無い。 20年以上も前に死んだと思われていたが、今現在の本人写真を載せてのインタビュー記事。毎年この手のゴシップは出て来るんだけど、写真入りというのが素敵。エルヴィスに似てないのも信憑性大。 ちょっと似てたりすると、なんかソックリさんを連れてきての「売名行為」に映るからイヤラシイ。 エルヴィスが生きていても、勿論死んでいても、別段どっちでもいいのだけど、この似てないエルヴィス氏は新聞記事の中でこう言う「ファンの夢を壊すぐらいなら、このまま死んだ事にしておこう」。 我が日本ではさしずめ「原節子」か。 ファンの描くエルヴィスでは無くなったと、我の醜態を痛感したエルヴィスは、そう言う。 「時期が来たら、隠遁生活をお話しましょう」でしめている。 いい話である。 彼は、20世紀最大のセックス・アピールを持った歌手エルヴィス・プレスリーに間違い無い。 いいんだ、それで。 にせものが、芸能界に踊り出るとかの野心でもなく、ただ生きてるのを生きてると言っただけ。嘘を言ってるわけじゃない。エルヴィス本人なのだから。 いいな、と私思ったのは、エルヴィス・プレスリーじゃない人が、そう思いこんで思いこんで、遂に本人にまでなっちゃった事である。 この似てないエルヴィス氏も紛れもなく天下のエルヴィス・プレスリーなのである。だから、今の彼に「ハウンド・ドッグ」を歌わせてはいけない。 私の好きな初期ベスト盤の「ゴールデンレコード」での「ハウンド・ドッグ」を堪能すべきである。 追伸:「エルヴィスは生きている」のニュース・ソースは勿論「東京スポーツ」 2002/8/31 |