渡辺正 連載コラム #49 フジヤマで売ってないレコードたち。
「Blank Generation」このLPでパンクロックにはまった。随分昔の話だ。 ピストルズのジョニー・ロットンより、私の中ではリチャード・ヘルの方がパンク・ロック。 大体において名曲と呼べるのは「ブランク・ジェネレーション」だけだが、それで充分。エバーグリーンは一曲あればいい。このトゲトゲした理由無きイライラが、不条理にも気持ちにフィットしてくる。時代の空気や世相の移ろいではなく、世代のトゲトゲに浴しているから、10代の終わりや学生から社会人になる狭間の人には、誰でも心動かされるに違いない。 私はいまだに、これ聴いてざわざわしている。 とすると、社会に順応してないままなのかも知れない。 よくよく聴いてみると、ロバート・クインのギターがトゲトゲのイメージ作者で、理由無きイライラはリチャード・ヘルの味と分かってくるが、まあ、頭悪そうで、いい。 パンク・ロックは大好き。小難しくないのがいい。実はこれはバカじゃ出来ないのだ、パンク・ロック。 このレコードが証明している。 果たして私は、社会に順応してるか?このリチャード・ヘルを愛聴している自分に問う。 2002/10/26 |