渡辺正 連載コラム #51 フジヤマで売ってないレコードたち。
ヴォーカルのウエイン・カウンティといえば、ケンカの強そうなオカマである。 エクトリック・チェアーズといえば、傑作アルバム「マクシス・カンサス・シティのライブ盤」で、同じく収録されてたペル・ウブやスーサイドよりも、そのストレートな愛情に惚れてしまった私。 このウエイン・カウンティというヴォーカリストは当時、76年あたりのNME誌やパンクファンジンなどで、かなり強力なコラムを執筆してたのを、私は読んでいたから、もっとエキセントリックなバンドをやってるのかと思ってた。が、音楽自体はR&Rやブルースといった、バンドの根っこが見えて楽しめたのを思い出す。 それでもヴィデオで観た、ライヴは凄いなぁ、さすがオカマ・ヴィジュアルはインパクト大!しかもどっから見ても、喧嘩強そう。私の中では、キャプテン・ビーフハートと同等のインパクト(笑)。 ジャケット写真を見てもらいたいな、皮ジャンの下にパジャマ着てたり、マヌケ顔全開のメンバーの中にあって、凛としたインテリオカマひとり。こんなバンドは強い、絶対強い。音楽も生き方も。 このレコードは、ファースト・アルバムだが、オリジナルのSAFARI盤ではなくて、カナダ発売のもの。 内容が、違ってるのがミソ。 オリジナルLPに含まれてた名曲「マクシス・カンサス・シティ」は前述のライブ盤の方が、出来が圧倒的に良い。カナダ盤だと、その曲のかわりに「FXXX OFF」(これはブルース「ロックミーベイビー」の替え歌)と「ナイト・タイム」(これは、ロウエル・フルスンの「トランプ」の替え歌)という、かなり正直で、B級センスな”ヘタカッコイイ曲”が差し替えられてるので、こっちを買った。私はコレクターじゃないし。 PILが来日した時、会場で次の来日希望アーティストは?なんてアンケート用紙が配られていて私は、「ウエイン・カウンティ」と書いたが、一緒に行った友達はそれ見て「クイーン」なんて、ふざけて書いてた。同じオカマでも、絶対「ウエイン・カウンティ」の方が強いぜ!なんて笑ったのを、思い出す。 2002/11/26 |