渡辺正 連載コラム #61 フジヤマで売ってないレコードたち。
だいぶ前の事になってしまったが、ソニック・ユースのメンバー達がフジヤマにやって来た時の事を少し。 何回目の来店だか思い出せないが、例によってサーストンは、レコードジャンキーぶりを発揮して黙々と店の隅から隅まで、妙な音源ばかり探してる。昨日もおとといも来たのに、店が開いてないからガッカリしたよ!とか私に言うから、申し訳無いね、アイムソーリなんて言ってみたものの、私には日常のことだから気合の入った陳謝が口をついて出てこない(笑) 多分フジヤマのその「自由奔放な休み癖」を誰かからインプットされていたんだろうな、怒ってる感じはなくて、呆れたように笑ってた。良いやつ、サーストン・ムーア。 のんきなフジヤマに、ガツガツとレコードやらカセットの物色に夢中のサーストン選手。狭い店だから、何10周もしたでしょうか、まるでチビクロサンボ状態。サーストン大きいから、デカクロサンボってとこ?他のメンバーほとほと呆れたのか、自分達のワゴンに引きこもり。 キム・ゴードン選手はニヤニヤしながら、店の前に停めたワゴンの中からこっち見て、あくびしてます。たまに子供あやしたりして。 私はと言えば、この日体調悪くて、夕方になってやっとの思いでフジヤマに着いたところに、御一行の来襲だから、疲れてボンヤリしてた上、サーストンが、あんまり必死なので、こりゃ時間かかりそうと踏んだのね。店を離れて珈琲飲みに行った。 のんきな店だ。店に客を残して喫茶店に行く店主。 しばらくして帰ってきたら、まだアレコレ探してた。 実は、こんなノンビリした風景っていいよ、私は凄く楽しかった。ヤマツカアイのカセットなんかを随分買ってくれたように思う。 彼らが帰った後に、ふと店頭にあるガラスショーケースの中を見たら、なにやら飾った記憶のないオブジェが、並べられたCDや本と共にある。 うんこの混じった丸められたオムツ。ガラスケースの中にあると、前衛作品に見えたりして笑ったな。、多分キム・ゴードン女史の仕業、いや、作品(笑)。 その生暖かい前衛作品を、惜しげも無く速攻で破棄したのは言うまでも無い。 2003/5/16 |