渡辺正 連載コラム #69 フジヤマで売ってないレコードたち。
2004年おとそ気分でダラダラと寝正月してたら、もう5日になってしまってた。正月らしい事をしないと・・・なんて思ったかどうか、どにかくレコードを買いたくなった。レコードを聴きたくなったのではなく、買いたくなったのである。 いつも子供の頃からお正月はレコード屋さんに行って、集めたお年玉をレコードに替えるのが我身伝統になっていて、50を過ぎてもその癖は直らないとみえる。 昔は欲しいものが決まっていて楽だったのだが、この年になると「正月だから無駄使いする」その快感。だからモノを買うという一点に集約される不純、陳腐な贅沢、のんきな伝統。 居合せた友人の尾野寺君と下北沢ディスクユニオンへ。そんなことせずフジヤマでレコード買えばイイって?いやいや、それじゃあ「買う」という醍醐味が味わえないから、どうしても他のお店でなくちゃいけません。なにせレコードを手に入れるのではなくて、「買う」という行為がしたいだけなのだから。 元々欲しいレコードなんて無いからお気楽なもんです。 お気楽なんだけど、やはり欲しいものは高い。で、身の丈の物件を考える。今の木造アパートで聴くにはジャズのピアノトリオが小音量でも聴けるかも・・・とか、およそ音楽とはかけ離れた購入条件で購買範囲が設定されてくる。しかも正月だから「のんき」なのがいい。 そんな、どうにも怪しい理由で買ったのがトミー・フラナガンのピアノトリオもの。 プレスティッジレーベルのMOODS VILLEシリーズというのは、のんきシリーズと私は考えていて、案外ターンテーブルに乗る機会が多い。ちょっとモダンな味でスタンダード曲やバラード曲を演奏する「憩い盤」なので、買うものが無い時はこのシリーズのモノを買うのが常。演奏してる人は誰でもいいのが、お正月らしいとは思わないかい? パンク〜ハードコア勃興気に何を買っていいものか迷った時に、スティッフとかクレイとかのレーベルで買っていたのと同じ。 かの尾野寺君は、捨てたくなるような100円のシングル盤を5枚買っていた。 2004/1/11 |